Claude Code に superpowers を入れてしばらく使ってみたところ、コードの書かせ方そのものが変わりました。何が起きたのかを Before/After で共有します。
想定読者
- Claude Code を日常的に使っているエンジニア
- 「Claude が暴走して手戻りが多い」と感じている人
- superpowers の名前は聞いたことあるけど、実際に何が変わるのか知りたい人
参考:公式ドキュメント
- GitHub – obra/superpowers(約106K stars、2026年3月時点)
- Superpowers – Anthropic 公式マーケットプレイス
- Claude Code Skills 公式ドキュメント
- Jesse Vincent のブログ: Superpowers 5
Before: superpowers なしの開発
Claude Code はそのままでも十分に強力なんですが、使い込んでいくと気になるところが出てきます。
一番多いのが「いきなりコードを書き始める」問題です。「認証機能を作って」と言うと、要件の確認もなしにファイルを作り始める。こちらが想定していたのと全然違う方向に進んでいて、気づいた時にはもう手遅れ、みたいなことが何度かありました。
テストも同じです。「テスト書いて」と後から頼むと、実装に合わせた「通るだけのテスト」が出てくる。テストが仕様を定義するのではなく、実装を追認する形になってしまう。
もう一つが、長時間作業でのコンテキストドリフトです。会話が長くなると、最初に決めた方針からじわじわとズレていく。途中で「あれ、なんでこの構成になったんだっけ」と思うことが増えます。
CLAUDE.md にルールを書いて対処しようとしたこともあるんですが、正直なところ、守られたり守られなかったりでした。
superpowers をざっくり紹介
superpowers は、Jesse Vincent(obra)が開発した Claude Code 向けのスキルフレームワークです。2025年10月に公開されて、2026年1月に Anthropic の公式マーケットプレイスに掲載されました。
一言でいうと、「開発プロセスを強制するスキルの集合体」です。14個のスキルで構成されていますが、全部覚える必要はありません。会話の内容に応じてスキルが自動的に発火します。
前提として Claude Code が動く環境があれば OK です。インストールはこれだけ。
/plugin install superpowers@claude-plugins-official
設定ファイルの編集とかは不要で、入れた瞬間から効きます。インストールできたか確認するには /plugin list を叩いて、superpowers が一覧に出ていれば大丈夫です。
After: superpowers を入れてからの変化
brainstorming: まず聞いてくる
一番変わったのがここです。superpowers を入れた状態で「○○を作って」と言うと、いきなりコードを書き始めず、まず質問してきます。
内部的には HARD-GATE という仕組みが入っていて、設計をユーザーに提示して承認を得るまで実装に進めないようになっています。
実際に試してみます。「Go で AWS 認証情報を取得する CLI ツールを作って」と投げると、いきなりコードを書き始めず、こんな感じで聞いてきます(DevelopersIO の体験記事でも同様の対話が報告されています)。
質問1: このツールをどこに配置しますか?
A) scripts/aws/ の下
B) scripts/ に新しいディレクトリを作成
C) 独立した Go モジュールとして
「A」と答えると、次の質問が来ます。
質問2: ビルドされた成果物はどのように使われますか?
A) go install で PATH に追加
B) Makefile でビルドして特定のパスに配置
C) go run で直接実行
こんな感じで1つずつ聞いてくる。10個まとめて聞かれるとうんざりしますが、1つずつなら答えやすい。3〜5問くらい答えると、Claude が設計案をまとめて提示してきます。ここで「OK」を出すまで実装には進みません。
これ、「曖昧なアイデアを構造化するプロトコル」と捉えると、コーディング以外にも使えるんですよね。実際に記事執筆や提案書作成に brainstorming を使っている事例もあります。
TDD: テストを先に書かないと進めない
superpowers の TDD スキルには「Iron Law」と呼ばれるルールがあります。
NO PRODUCTION CODE WITHOUT A FAILING TEST FIRST
Write code before the test? Delete it. Start over.
No exceptions.
テストを書く前にコードを書くと、そのコードを削除して最初からやり直しになります。容赦ないです。
実際の流れはこうなります。まず Claude が「このモジュールにはどんなテストが必要ですか?」と聞いてきて、テストファイルを作成します。npm test を実行して RED(失敗)を確認。そこから初めて実装コードを書き始めて、GREEN(成功)を確認。最後にリファクタリング。このサイクルを関数単位で繰り返します。
superpowers なしだと「テスト書いて」と頼んでも実装の後追いになりがちでしたが、この順番だとテストが仕様の役割を果たします。CLAUDE.md に「テストを先に書いてください」と書いても守られないことがあったのに、superpowers では仕組みとして強制される。この「指示」と「強制」の差は想像以上に大きいです。
subagent-driven-development: コンテキストが汚れない
コンテキストドリフトの問題には、subagent-driven-development が効きます。
実装計画に「タスク A: ユーザーモデル作成」「タスク B: API エンドポイント作成」のように分かれていると、それぞれに新しいサブエージェントが起動して、独立したコンテキストで実行されます。メインの会話は計画の進捗管理だけを担当するので、コンテキストが膨張しません。
各サブエージェントは完了後に2段階のレビューを受けます。「仕様に沿っているか」のチェックと、「コード品質は十分か」のチェック。問題があれば差し戻されて修正が入ります。作って終わりではなく、レビューまで自動で回るのは地味に助かります。
気になったところ
良いことばかり書いてもフェアじゃないので、気になった点も挙げておきます。
小規模タスクへのオーバーヘッド。brainstorming + planning で10〜20分かかることがあります。タイポ修正や1行のログ追加に brainstorming が走ると、さすがにちょっと重い。superpowers の brainstorming スキルは「全プロジェクトに適用する」という設計思想なので、ここは割り切りが必要です。
トークン消費の増加。サブエージェントを使うとトークン消費は確実に増えます。Claude Code の公式ドキュメントによると、Agent Teams 機能は通常セッションの約7倍のトークンを消費します。これは superpowers 固有の話ではなく Claude Code のサブエージェント機能自体の特性ですが、superpowers は積極的にサブエージェントを使うので影響は大きいです。Max プランでも使い切るリスクがあるので、コスト感は把握しておいた方がいいです。
スキルが発火しないケース。プロンプトに大きなファイルの内容を貼り付けたりすると、スキルの自動トリガーが効かないことがあります。知っておけば対処できる程度の話ですが、一応注意点として。
まとめ
superpowers を使い始めて感じたのは、これは「便利なツール」というより「開発の型」だということです。
CLAUDE.md にルールを書いても守られなかった問題が、superpowers では仕組みとして解決される。「ルールを書いても守られない」から「勝手に良いプロセスが走る」への変化が、個人的には一番大きかったです。
小規模タスクへのオーバーヘッドやトークン消費の増加はあるので、全ての場面に向いているわけではありません。でも、ある程度の規模の実装タスクであれば、手戻りが減って結果的に効率が上がる実感があります。
試してみたい方は、まず /plugin install superpowers@claude-plugins-official でインストールして、普段やっている実装タスクを1つ投げてみてください。brainstorming が走り始めた時点で、Before との違いが実感できると思います。
当面はこの構成で使い続けてみるつもりです。